「目的」を持たせろ

エルザ
ベースができたところで、要件を整理しましょう。
「小説を自動で書いてくれる道具」が欲しいとの事でしたが、具体的に小説執筆のどの工程で困っていますか?
パラ犬
脳内にあるシーンは完璧なんだけどさー、文字にしたらコレジャナイんよね。
脳内では超面白くて感動的なんだけどー。
シャーレイ
それ、絵の構図とかでも似たようなこと言ってるだろ。
エルザ
では、ネタが思い付かないのではなく、書きたいネタはあって、それを文字化したいという事ですね。
パラ犬
そうだね。
書きたいネタがあるから困ってるわけで、ないならそもそも書かなきゃいいだけだし。
エルザ
でしたら、道具の要件は「あらすじを入力すると小説になって出てくる」でしょうか。
パラ犬
いや、あらすじとかプロットとかそんなものと一緒にはしないでいただきたい。
もうほぼ完成品というか、具体的なシーンとか台詞とか、とにかく全部脳内にはあるわけでそれを文字化するのだけが困ってるんだ。べつにあらすじから物語を作ってほしいわけじゃない。
シャーレイ
めんどくせー奴。
エルザ
具体的な筋があって、筋書きだけでは表現しきれない動作や情景があるというわけですね。
パラ犬
そんな感じ。
エルザ
では入力は、稚拙ではあるけれど書きたいことだけはなんとなくわかる程度のテキスト。出力は、読み物としての体を成した文章、ですね。
パラ犬
まあ、そんなもんですわな。
エルザ
要するにあらすじを入力して小説を出力するわけですね。
パラ犬
それだわ。
シャーレイ
意志よわっ。
エルザ
仕様が決まりましたので実装しましょう。
入力されたテキストをあらすじとして小説を生成して出力するよう、指示を変更します。
script.js【変更前】
const prompt = `${inputText}`;
script.js【変更後】
const prompt = `
以下のあらすじを元に小説を執筆しなさい。

### あらすじ
${inputText}
`;
シャーレイ
普通の日本語だ。
エルザ
日本語です。意味さえ通じればどんな書き方でもいいですよ。
パラ犬
書き方が自由って逆に困るよね。文法が決まってるプログラミングのほうがラクだわ。
シャーレイ
そのあたりは人によるんだろうな。
エルザ
では、先程と同じテキストで実行結果を比較してみましょう。
実行結果
パラ犬
小説になった。
エルザ
完成です。
パラ犬
完成した。
シャーレイ
早っ!

使ってみよう

エルザ
では、実際に使ってみましょう。
小説にしたいあらすじを出してください。
パラ犬
あらすじじゃないんだけどな~。もうほぼ完成品で~。
シャーレイ
それはもういいって。
パラ犬
やれやれ、しかたないな。
あらすじ
「お師匠様!?」
 現れたのは仮面の男――行方不明だった、かつての桃太郎の師匠だった。
「久しぶりだな、桃太郎」仮面の男は言った。
「なぜ鬼ヶ島にあなたが……!」
「フッ、もう察してはいるのだろう。そう、我こそは鬼四天王の一人、『ピチピチのピーチ』!」
 ――薄々おかしいとは思っていた。師匠の人間離れした強さ。しかしあえて考えないようにしていたのだ。
「さあ来い。見せてみよ、お前がどれだけ強くなったかを」
 そう言って男は仮面を投げ捨てた。その下から現れたのは、紛れもなく、鬼の顔だった。
シャーレイ
台詞ばっかりで、後から地の文を入れようとするけど「○○は言った」だらけになるやつだ。
エルザ
戦闘シーンを義務的に入れるものの、退屈すぎて無い方がましなやつですね。
パラ犬
脳内では名シーンなんだけどなー。
シャーレイ
もう少し現実を見たほうがいいと思うぞ。
エルザ
では、実行しましょう。
実行結果
出力されたテキスト
鬼ヶ島の最深部、唸るような潮騒と、立ち込める硫黄の臭気。
数多の鬼を斬り伏せ、ついに辿り着いた「獄炎の間」で、桃太郎は息を呑んだ。

そこに立っていたのは、禍々しい角を生やした大鬼たちではない。
着古した着物に身を包み、奇妙な狐の仮面をつけた一人の男だった。その立ち姿、空気の纏い方。桃太郎の背筋に、戦慄にも似た懐かしさが走る。

「……お師匠、様……!?」

絞り出すような声に、仮面の男がゆっくりと振り返った。

「久しぶりだな、桃太郎。ここまで来るとは、さすがは俺が目をかけた男だ」

聞き間違えるはずもない。かつて人里離れた山奥で、幼い桃太郎に剣を、術を、そして生きる術を叩き込んでくれた恩師の声だ。三年前、忽然と姿を消したはずの男が、なぜ。

「なぜ……なぜ鬼ヶ島にあなたが! さらわれた人々を助けに来たのですか? それとも、僕と同じように鬼を討ちに……!」

桃太郎の悲痛な叫びに、仮面の男は短く、低く笑った。

「フッ、もう察してはいるのだろう。お前のその鋭すぎる直感は、隠し事には向かない」

男は一歩、踏み出した。その足音が、重く、地面を沈ませる。

「そう、我こそは鬼ヶ島を守護する四天王の一人。人呼んで――『ピチピチのピーチ』!」

そのあまりにも場にそぐわない異名に、一瞬の静寂が流れる。
だが、桃太郎は笑えなかった。
薄々、おかしいとは思っていたのだ。
師匠の、あの常軌を逸した強さ。一振りで山を割り、素手で雷を掴むような、人間を辞めているとしか思えない技の数々。
「桃から生まれたお前と同じ、特別な体質なのだ」という師匠の言葉を、桃太郎はあえて疑わずにいた。信じたかったのだ。

「さあ来い。見せてみよ、お前がどれだけ強くなったかを。俺の教えがお前を殺すのか、それともお前が俺を越えるのか……」

そう言って、男はゆっくりと顔に手をかけた。
指先が仮面の縁をなぞり、次の瞬間、木製の仮面が床に投げ捨てられた。

カラン、と虚ろな音を立てて転がる仮面。
その下から現れたのは、かつての慈愛に満ちた師匠の面影を残しながらも、額から天を突くような二本の角が生え、瞳が爛々と黄金色に輝く、紛れもない「鬼」の顔だった。

「…………っ!!」

桃太郎は腰の日本刀、「吉備団子丸」の柄を強く握りしめた。
師匠が、鬼。
愛する故郷を、人々を苦しめてきた元凶の一人が、自分を育ててくれた父も同然の存在。

「構えろ、桃太郎。これは修行ではない。殺し合いだ」

鬼となった師匠が、その巨大な拳を握りしめる。周囲の空気が、彼の放つ圧倒的な妖気によって激しく震え始めた。

桃太郎は、震える脚を叱咤し、一歩踏み出した。
涙を拭う暇はない。
「……行きます、お師匠様」

二人の影が、赤黒い炎に照らされる最深部で激突した。
パラ犬
小説になった。
エルザ
完成です。
パラ犬
完成だわ。
シャーレイ
早っ!