2. 線画のトレースとクリンナップ

 
下絵を読み込んだら、拡大表示しながら、主線をなぞっていこう。
レイヤが使えるソフトなら、新しいレイヤでGO。
 
 
  普通になぞるだけでいい?
 
普通に。ただし1ドットの線で。  
 
  これでいいかな?

 
 
……フッ。  
 
  なんで冷笑!?
 
ンー、1ドットニハ見エナイナァ  
 
  なんでカタコト!?
 
まあそれは冗談として、なぞる段階ではこんなもんでいいよ。  
 
  いいんだ。
……僕、笑われ損?
 
じゃあ細線化してみよう。
さっきのだと、斜めに繋がる線が、2ドットぶんの太さになってるの。
1ドットってのは、こういう線ね。
 
 
  最初から、そう言ってくれればいいのに。
 
ガーッと引いてポチポチ直すほうが楽だよ。
いきなり1ドットの線を打つのは、けっこうめんどくさい。
 
 
  描き直すんじゃなくて、この線の太いところを消していけばいいんだね。
 
そういうこと。
あ、細線化したら、もう下絵は消しといてね。邪魔だから。
 
 
  できたよ。こんな感じ?

 
 
うん、いい感じ。
さて、今までずっと拡大して見てたから、
ここらでちょっと原寸サイズに戻してみようか。
 
 
 
いやー、いい感じのガタガタっぷりだね。
 
 
  ・・・・・・
 
下絵をなぞっただけで、美しい線が描けると思うたか、
この、うつけ者。

これを今から修正するの。
拡大して作業してると、ゆがみに気付きにくいものだから、
こまめに原寸に戻してチェックしながら、ポチポチとね。
 
 
  ゆがみすぎて、どう直していいのかわかんないんたけど。
 
気になるところから直していけばいいんだよ。
『なんかここが出っ張ってる』って感じたら、そこを削るの。
違和感を感じるってことは、綺麗な線がイメージできてるってことだから。
 
 
  うーん……
 
ほら、女体を描く時とか、こだわるっしょ。
『この乳のラインは違う!もっとふっくらと!』とか。
 
 
  こだわらないよ、そんなの……
 
貴様、それでも日本男児か!  
 
  日本関係ないし!
 
下絵を描いたときのこだわりを思い返してみよう。
『この羽根のラインは違う!』とか、『もっと生足っぽく!』とか。



こんな感じで、気になるところを修正していってね。
なーに、根気よくポチポチやってりゃ、そのうちそれっぽくなるって。
 
 
  そんなに上手くいくかなぁ……
 
んじゃ、ちょっと段階的にやってみようか。


この頭のでっぱりが、気になったとする。
ていうか、気になる。気になれ。
 
 
  命令口調で言われても。
 
とりあえず、まず削ってみる。

そしたら、なんか平べったくなっちゃったから、
「丸く〜 もっと丸く〜」ってイメージしながら
丸っこくないところをどんどん修正していくの。



ほら、丸くなった。
 
 
  早っ。

それにしても、ちょっと点を移動させただけで
けっこう形が変わるもんなんだね。
 
全体サイズに対しての、1ドットの幅が大きいからね。
だからって、思い通りの線を引くのが不可能ってわけじゃないよ。
線が太いぶん、形の判定がアバウトになるから。

たぶん、あんまり絵を描き慣れてない人のほうが
こういう描き方に向いてるんじゃないかな。
下書きが鉛筆線だらけになっちゃって、
ペン入れすると、とたんに線がショボく見える人。
 
 
  修正ばっかりしてるってこと?
 
それもあるけど、要するに、うまく形が取れない人ね。
イメージはあるんだけど、形の認識が甘くて紙に起こせない。
線がいっぱいの下絵だと、脳が自動的にきれいな線を拾って
上手く見えるってのは、有名な話だね。
線が太いと、線がいっぱいあるのと同じように、形があいまいになる。

乱暴な言い方をすると、どうしても形が取れないときは、
線を潰してアバウトにするのもアリってこと。
 
 
  わざわざ潰さなくても、1ドットが太くて線が潰れるのは
しょうがないことだと思うけど。
 
じゃあ次は、潰れた線の話でもしようか。

まずは、害のないくっつき方。

 

あごの線を修正したら、顔の下が真っ黒になった。
でもコレは、影に見えなくもない。影に見える。影だ。
むしろ影にしたんだコノヤロー!
みたいな感じ。
こういう線は、修正しないほうが味になる。
 
 
  最初に、1ドットで線を引くって言わなかった?
 
それは、下絵をなぞるときの話。
最初の下書きで線を潰しちゃダメっしょ。形、わかんないじゃん。
 
 
  じゃあ、修正では好きにしていいってことなんだ。
 
見栄えがよければね。

じゃあ、次は悪いくっつき方の話。

 

この絵では、青い線で描いた、縦3ドットぶんが目のはず。
でも、右側の目が髪の毛とくっついちゃって、上に長く見えるよね。
 
 
  下に1ドット長いようにも見えるよ。
 
それが認識力の恐ろしいところ。
位置はあってるはずなのに、歪んで見えちゃうの。
 
 
  なんか、ややこしいね。
 
でも、解決方法は簡単。
くっついてるのが原因なんだから、離してやればいいの。

 
 
 
  ……なんか、単純すぎて、
『それって使えるの?』って思うんだけど。
 
いろんなテを知っとくのは、悪いことじゃないっしょ。

次のダメくっつき。
真ん中の前髪の先っちょなんだけど、
なんか毛先が黒く見えない?
 
 
  言われてみれば。
 
離して修正しようとすると、毛先のシャープさがなくなっちゃう。
こんなときは、思い切って形を変えてみたり。

 

3ピクセル幅あれば、くっついたりしないからね。
 
 
  そんなに思い切って、うまくいくものなのかな。
 
不安なときは、バックアップを取っといて
思いっきり大胆に修正してみよう。
美しい線は、必ずどこかに存在するから。
 
 
  収集がつかなくなっても、元通りに出来るんなら、
いろいろやってみる気になる……かな。
 
さて、こんなもんかな。
あとは実際にいろいろ動かしてみることだね。

ちなみに、このクリンナップが一番重要な作業だから、
納得いくまでやってね。
 
 
  とりあえず、やってみるよ。

……うーん……この点をこっちに持ってきて……
 
クリンナップ・クリンミセス!  
 
  集中できないよ!


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