1. 雛型を作る

 
突然だけど、全身絵を描け、って言われて
サクッと描ける?
 
 
  ほんとに突然だね。

うーん、顔だけならなんとかなるかもしれないけど、
体は難しいかな。
 
OK。むしろ描ける奴は帰れ!
 
 
  ダメだよ、読者追い返しちゃ!
 
それはともかく、全身絵が難しいのは、アレだよ。
なんか手とか足とか生えてて複雑な形してる人体の上に
服とか髪の毛とかアクセサリーとかごちゃごちゃしてるからだよ。

じゃあ、棒人間とか、丸い頭と胴体に手足が生えてるだけの人型は?
 
 
  こういうのだよね?

これぐらいなら描けるよ。
 
うん、そういうショボいのでいいんだよ。
ショボくても、どんどん描き足していけばちゃんと形になるから大丈夫。
だからショボいのしか描けなくても問題なし。
 
 
  (ショボいって三回も言われた……)
 
いきなりゴチャゴチャしてるのを描こうとするから難しいわけで。

まず人型を作って、それに髪の毛や服を足していく、と考えれば
いきなり描き始めるより簡単っしょ?
 
 
  さっきの人型レベルでできるんなら、いけそうだよ。
 
さっきのショボい人型レベルでいいよ。
 
 
  (また言われた……)
 
それじゃあ、描き始める前に、サイズの確認をしておこうか。
ツクールなんかだと、たいていソフト側で仕様が決められてるから
それに合わせてね。
ツクール200xなら、縦32×横24ピクセル以内、とか。
 
 
  ツクールXPやVXは無制限だけど、どのくらいがいいかな?
 
それぞれのツクールのサンプルと同じサイズがいいんじゃないかな。
ツクールXPなら縦48×横32、ツクールVXなら縦32×横32ぐらい。

サンプルと同じサイズで作れば、サンプルのマップチップが使えるしね。
 
 
  そっか。変なサイズで作ると、マップチップと合わなくなるんだ。
 
さて、サイズを決めたら、次は頭身。
縦サイズと頭身が決まれば、自動的に頭のサイズが決まるっしょ。

それじゃあ、始めよう。
例ってことで、縦32×横32ピクセルで進めてくよ。
頭身は、2頭身ぐらいで。
 
 
  ってことは、頭のサイズは16ピクセルってことかな。
 
そんな感じ。
まあ、ツクール2000みたいに「何ピクセル以内」って決まってる場合、
上限を超えると困るから、ちょっと小さめのほうがいいけど。

とりあえず、まずは16ピクセルぐらいで頭を描きます。

 
 
  丸だね。普通の。
 
丸だよ。普通の。円形ツールで描いたやつ。
これが頭。

次は顔。
顔の輪郭と、デコの生え際を描きます。
頭は髪の毛のボリュームも含んでるから、顔は一回り小さくする感じでね。



この段階では目は位置決め程度でOK。
 
 
  この時点でもう、顔らしくなって来てるね。
 
さて、お次は目を描き込んでいこう。
んでもって、目に合わせて頭のサイズも変えるべし。
 
 
  ……いきなり変えるんだ。
それじゃあ、最初にサイズを決めた意味ないじゃないか。
 
あれはあくまで、大きさを決めるだけのもの。
ただのアタリだから、そんなに気にしなくていいよ。

目はキャラクターを描くときの重要パーツ。
これはドット絵でも変わらないよ。けっこう見落とされがちだけどね。

たとえば、ここに三つの人型があります。



ぶっちゃけ、あんまり違いはわかんないよね?
 
 
  横幅が違うかな。
 
違いはわかんないよね?  
 
  いや、横幅……
 
わかんないよね?  
 
  ……。
ハイ、ワカラナイデス。
 
よろしい。  
 
  それで、この「全然違いのわからない」人型がどうかしたの?
 
なかなか空気が読めるようになってきたね。

この、どこから見ても全然違いなんてわからない人型。
でも、目を入れて、顔に注目すると――



ほれ、この通り、顔の違いがはっきりと。
 
 
  両目の間隔がちょっと変わっただけで、違った顔に見えるね。
 
そういうこと。
シルエットばっかりに囚われてたら、目を入れたときに
すっごい寄り目になったりしてギャフンな状態になるから
最初に目を入れておくほうがいいの。
 
 
  じゃあ、さっき作った頭に目を入れて、
おかしかったら修正すればいいってことかな。
 
なんか幅が合わないなーと感じたら
脳天カチ割ってずらして隙間を埋めれば、簡単。


幅が広すぎるならこの逆ね。
もちろん違和感がないなら脳天唐竹割りする必要ナッシング。
 
 
  目の描き方で、頭の大きさはだいぶ変わってきそうだね。
 
サイズ上限あるのにオーバーしました、って事にさえならなければ
どんどん変えちゃえ。
さっきも言ったとおり、目は重要パーツだから
いろいろやってみて、自分の好みの形を探してね。

ほんの数ドットだけど、いろんな描き方があるよ。
アイラインや白目を入れるかどうかとか、ハイライトを入れるかとか。
同じ形でも位置によって印象が変わったりね。


とりあえず、こんな感じにしてみた。


 
 
  小さいから目なんてどれも似たような感じになると思ったけど、
けっこう違うんだ。
 
それがドット絵の面白いところ。
それじゃあ、次は体を描こうか。
胴と腰を描いて、手足を生やす、みたいな感じで
分けて描くとやりやすいよ。

一発できれいな形を取ろうとせずに、まずはガーッと描いて、
形を整えていくと、いい感じ。
ガーッと描いてポチポチ修正。これ、ドット絵の極意。
 
 
  極意ってのは言いすぎのような気がするけど、
いっぺん線を引いたら修正が難しい普通の絵よりは
描きやすい気がするよ。
 
何回でも修正できるからね。
納得いくまでやれば、納得いくものができるって寸法。

この雛型作りは、絵柄を決める重要なポイントだから、
自分のハートにグッと来る形ができるまでいろいろやってみてね。

 
 
  いろいろやってれば、いい形ができる……かな。
 
できるよ。そのうち。

そんなわけで、こんなのができました、っと。

あとはこれをコピーして雛型にして、ヅラと服をくっつければ
どんなキャラでも描き放題ってわけ。
 
 
  便利そうだね、雛型。
 
お前も雛人形にしてやろうか!
 
 
  わけわかんないよ!




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